FX初心者入門

為替と企業への影響

【著者】 児山 将

グローバル企業が多い現代では、為替市場の動向が企業の収益に大きな影響を与えます。また、グローバル企業でなくとも、様々なものを世界から輸入していますから、為替の影響を受けない人など皆無といって良いでしょう。

一般的には『円安は良くて円高が悪い』というイメージがあるようですが、企業や世界経済の状況において大きく違います。
ちなみに、本記事執筆時である2015年11月時点では、ドル円120円あたりが日本にはちょうど良いと言われていました。

では、円安・円高のメリットとデメリットを見ていきましょう。

円安のメリット・デメリット

円安になるということは、円の価値が下がりドルの価値が上がります。

例えば、1万ドルの車があったとしましょう。
1ドル100円の時には車の価格は日本円で100万円です。
ところが、1ドル120円に円安が進むと同じ1万ドルでも日本円では120万円になります。

米ドルでの価格は変わらないものの、日本企業の売り上げは120万円となります。1ドル100円の時よりも20万円増えることになります。

また、海外の人は円安になるとより多くの円を手に入れることができます。
実質的にドルから円に両替をすると、日本の製品を安く買うことができるのです。

そうすると、日本への旅行も安くなりますので観光客が増えることになります。アベノミクス相場以降、外国人観光客が急増しているのはこの為です。

ユーロ危機が起こった時には、ヨーロッパへの旅行が安くなりましたので、日本人の多くがフランスやイタリアへ旅立ちました。

この時、旅行会社はが利益を得たことは間違いないでしょう。

しかし、円安により海外からの輸入品の価格は高くなりました。ヴィトンやエルメスなどの海外ブランド物やガソリン価格は上昇し、電気代の上昇は家計を圧迫しました。

燃料費が高騰したことで操業が困難になったイカ釣り漁船のストライキはテレビでも頻繁に放送されました。(実際はそもそも原油価格が高かったことが原因ですが。。)

このように、円安が必ずしも良いというわけではありません。

円安メリット

円高のメリット・デメリット

日本はリーマンショック以降5年ほど円高の時期がありました。
特に2009年以降はドル円が100円を下回り一時75円まで下落しました。

こうなると、輸出企業は採算が取れなくなり海外の販売価格を上げざる得ません。

トヨタは1円円高になると約400億円の利益、キャノンは約60億円の利益が左右されると言われています。
すそ野の広い自動車産業では、親業者が苦しむと下請け業者も苦しい立場に陥りました。仕入れ価格の引き下げが行われ、耐えられなくなった企業は円高倒産となりました。

逆に輸入企業は海外商品を安く仕入れられることができるので潤いました。石油や天然ガスも安く仕入れられますのでエネルギー価格が安くなり、電気・ガス代が安くなります。
電気を大量に使用する製造業は製造コストが安くなります。

また、1ドルが100円以上だったものが80円以下となったことで海外企業の買収コストが2割以上も減少しました。

2009年には武田製薬工業のスイスの医薬品会社ナイコメッドを136億ドルで買収。
大々的にニュースとなったのは、2013年にソフトバンクが米国第3位の携帯電話会社スプリント・ネクステル社を216億ドルで買収しました。
また、サントリーは2014年に「ジムビーム」で知られる米国ウイスキー大手のビーム社を160億ドルで買収するなど巨額のM&Aが相次ぎました。

日本の企業は海外で稼ぐ輸出企業の方が多いため、どちらかといえば円安の方が良いようですが、このように巨大企業が巨大企業を買収することのできる大きなチャンスなのです。

top